2011〜2012年度 政策・制度に関する要請事項

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1.東日本大震災の被災者支援と復興・再生

2.格差・貧困社会の是正、セーフティネットの強化

3.多重債務対策

4.消費者政策の充実強化

5.2012年「国際協同組合年」に向けた協同組合の促進

6.中小企業勤労者の福祉格差の是正

7.勤労者の生活設計・保障への支援

8.子育て支援、介護・福祉

9.くらしの安全・安心の確保

 

 

 

1.東日本大震災の被災者支援と復興・再生

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(1) 被災者への緊急の生活支援

 

 

@ 地域ごとに被災者の生活、住居、就労、医療・福祉等に関するきめ細かな情報提供や総合相談の体制を整備する。遠隔地の避難者に対しても、パーソナル・サポート・モデルプロジェクトを活用するなど、寄り添い型支援の拡充をはかる。

 

 

A 住居や生活基盤を喪失し所持金も底を尽きつつある被災者には、生活保護制度の迅速な活用と弾力的な運用により、当面の生活費を保障する。全国各地の避難先で保護を要することから、震災に起因する生活保護費については、その全額を国庫負担とする。

 

 

B 応急仮設住宅の建設や広域避難にあたっては、従前の人間関係やコミュニティが最大限保持されるよう留意する。

 

 

C 公営住宅および都市再生機構の賃貸住宅の空き室21,600戸の活用とともに、民間賃貸住宅の借り上げを推進する。

 

 

D 経済的な理由で就学の機会が奪われることがないよう、学費・入学金・給食費等の減免や、無償給付型や地域特別枠を含む公的奨学金制度の拡充をはかる。

 

(2) 被災者の生活・住宅の再建と金融支援

 

 

@ 被災者生活再建支援法を改正し、支援金の上限を引き上げるとともに、適用範囲、使途を拡大する。

 

 

A 金融機関が行う被災者向け融資への国による利子補給と保証制度を設ける。

 

 

B 被災者の既往ローンの公的資金による返済肩代わりまたは税控除を行う。

 

 

C 財形年金・財形住宅の非課税要件を緩和する。

 

 

 

a) 積立が困難となった被災者・失業者の財形年金・財形住宅の契約を維持するため、税財形の休止要件を緩和する。

 

 

 

b) 積立が困難となった被災者・失業者の財形年金・財形住宅の契約を維持するため、税財形の休止要件を緩和する。

 

 

 

b) 各窓口では、相談者のニーズに即して適切な選択と迅速な利用ができるようにする。

 

 

D 建物の耐震補強、省エネルギー化に向けた融資に対し、国による税控除、利子補給を実施する。

 

(3) 「新しい公共」による復興・地域再生と就労支援

 

 

 東日本大震災からの復興・再生を、新しい公共の創造、豊かな公共を促進する取り組みとして位置づけ、政策化し、制度の創設を検討する。

 

 

@ 復興・再生を従来型の行政主導・行政本位にせず、市民・地域の力を集めた取り組みにするための、組織的・政策的な位置づけを国の方針として明確化する。具体的には、地域の民間組織や非営利組織等も交えた復興・再生のためのネットワーク組織の結成を促進し、官民一体となった取り組みを活発化させ、これを国として支援する。

 

 

A 被災地・被災者の「生活」の確保・安定に最大限の努力を費やすとともに、被災地・被災者自身の自主的・自発的な復興・再生の取り組みを支援する制度を設ける。
また、今回の大震災を契機とし、「新しい公共」を地域・市民が推進する方針を全国的に明確化する。

 

 

B 被災地・被災者の仕事の確保・創出について、特別の手立てを講じる。その中で、地域の産業創出や従事する就労分野の変更を制度的に支える研修・訓練制度と、公的に就労を保障する制度を合体させ、「公的就労・訓練制度」を創設する。この制度は、戦後の失業対策事業の評価も踏まえ、時限的かつ地域での就労創出と産業創造に配慮した制度として設計する。

 

(4) 労働金庫の地区規制の弾力化等

 

 

@ 遠隔地に避難している被災者の金融ニーズに応えていくため、被災者との取引につき、労働金庫の地区規制を弾力化する。また、労働金庫間の被災者に対する手続代行を「代理業」とみなさない。

 

 

 

 例えば福島県の被災者が埼玉県に避難している場合、埼玉県を地区とする労働金庫では融資取引が難しく、積極的な営業行為は無認可代理業とみなされ行政処分を受ける。

 

 

A 労働金庫が被災地復興、雇用創造に向けた事業を行う団体への融資を円滑に行えるよう業務範囲を弾力的に運用する。

 

 

 

 1998年12月および2004年12月に、期間限定で労働金庫の中小企業向け融資(その雇用する労働者の雇用の安定を図るために必要な資金に限る)が認められている。

 

(5) 協同組合、NPO等への支援

 

 

@ 被災地復興に向けた事業を行うNPO法人向け融資を、信用保証協会による保証の対象にする。

 

 

A 企業から被災者支援・復興支援のための寄付を行う際の無税枠を拡大する。

 

 

B 預金保険機構による被災地金融機関への資金援助を行うとともに、被災地金融機関の預金保険料を免除する。

 

 

C 東日本大震災によって被災した生活協同組合に対し、復興に必要な融資制度等の対応を行う。

 

 

 

2.格差・貧困社会の是正、セーフティネットの強化

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(1) 「孤立」から「支え合い」の社会へ 〜「社会的包摂戦略」の策定

 

 

@ 社会的に孤立した人々を包摂し、社会の支え合いネットワークから誰1人排除されることのない社会の実現をめざし、そのための「社会的包摂戦略」を策定する。

 

 

A 今後も毎年、相対的貧困率や生活保護捕捉率を政府の責任において調査し公表するとともに、貧困や孤立の実態についてきめ細かな調査を行う。また、貧困・格差の放置は社会的損失(コスト増)につながることを計数的にも明らかにし公表する。

 

 

B 国民の6人に1人が貧困(2007年度相対的貧困率15.7%)という現実を直視し、貧困や自殺の削減について具体的な数値目標をかかげ政策を総動員する。

 

(2) パーソナル・サポート・サービスの制度化

 

 

@ 現在モデルプロジェクトとして行われている「パーソナル・サポート・サービス」(寄り添い型の就労・自立支援)を「社会的包摂システム」の軸と位置づけ、その制度化と全国展開に向けて、工程表を速やかに作成し着実に推進する。

 

 

A 全国展開に向けた制度設計やノウハウの蓄積をはかるため、2012年度以降もモデル事業を拡充するとともに、財政措置を含む国の支援を継続する。

 

 

B モデルプロジェクトの実践を通じてパーソナル・サポーターの養成を着実に進めるとともに、必要とされる資質・能力にふさわしい資格・処遇のあり方を検討・整備する。

 

 

C 全支援の効果の評価にあたっては、経済的自立(就労)のみならず、日常生活や社会生活における自立も含め、支援の段階に応じて適切に評価される尺度を設定する。

 

(3) 「第2のセーフティネット」の改善と恒久制度化

 

 

A.総論

 

 

 「第2のセ−フティネット」の改善と恒久化を実施し、生活保護に適正な位置づけを与えることにより、社会保障全体の生活保障機能を強化する。

 

 

@ 生活保護受給者の急増に対し、保護基準の切り下げ等給付水準の切り下げにより対処することなく、「第2のセ−フティネット」の保障水準の引き上げ、受給要件の緩和、手続きの簡素化等、より普遍性の高い仕組みの構築により対処する。

 

 

A 貸付実施により負債を負って生活保護受給者となるケ−スが多いため、「第2のセ−フティネット」は「給付」を原則とし、「貸付」は補足的位置づけとする。このため、「総合支援資金」は他制度に機能を移管して、原則廃止とする。

 

 

B 「第2のセーフティネット」の安定財源を確保するため、「税・社会保障の一体改革」において必要な対応を実施する。

 

 

C 利用者ニ−ズに即したサ−ビス体系及び実施機関の再編成と簡素化を行い、市町村を調整主体とし、求職者支援と住宅保障及び対人支援を一体的に運用するワンストップ・サ−ビスを可能にする仕組みを構築し、利用者の制度へのアクセスを改善する。

 

 

D 求職者支援、住宅保障及び対人支援を受けることが権利であることを法定し、実効性ある不服申立制度を整備する。

 

 

B.求職者支援

 

 

 「求職者支援法」(仮称)を早期に成立させるとともに、以下の事項をふまえ、有効な求職者支援を実施する。

 

 

@ 「生活支援給付」の給付水準について、生活保護を上回る水準に改善する。

 

 

A 「生活支援給付」の支給要件について、個人を対象とした制度とし、資産要件を緩和する。

 

 

B 訓練機関の質の向上を図り、就業に有効に結びつく制度設計とする。

 

 

C 公的セーフティネットとしての性格をふまえ、住宅保障との一体的運用を可能にするため、求職者支援制度の財源は、全額一般財源で負担する。

 

 

D 上乗せ貸付は手続時に必要性を適切に審査する。

 

 

C.住宅保障

 

 

 「居住の権利」を基本的人権と位置づけ、分立する住宅保障の仕組みを統合し、一体的な運用を可能とする仕組みに再編成するとともに、サービス内容を改善し、恒久的な制度として実施する。

 

 

@ 実施機関は、市町村もしくは福祉事務所に一元化する。

 

 

A 現在、「総合支援資金」による貸付とされている「住宅入居費」を給付とし、決定までの「つなぎ資金」とともに住宅手当給付の窓口で一体的に扱うものとする。

 

 

B 公営住宅の確保や民間賃貸住宅の借り上げなどによって、住宅現物給付の仕組みを創設する。

 

 

C 現行住宅手当の支給水準を生活保護基準を上回る水準に設定する。

 

 

D 現行住宅手当の支給要件について、離職要件を撤廃し、「住宅喪失のおそれのある方」とする。

 

 

E 公的家賃保証制度を創設し、民間借家市場への公的支援を強化する。

 

(4) 人間としての尊厳が保障され、利用しやすい生活保護制度への改善

 

 

@ 生活保護制度は「最後の」セ−フティネットであり、国の責任において確実な財源保障を行う。このため、生活保護費の全額国庫負担も視野に見直しをはかるとともに、当面、生活保護申請が集中している自治体への財政負担を軽減する仕組みを早急に創設する。

 

 

A 福祉現場の業務拡大や自立支援業務の高度化等を踏まえ、ケースワーカー(福祉事務所職員)の増員、専門性の確保をはかる。

 

 

B 申請権や受給権を侵害する違法な運用(いわゆる水際作戦)を是正し、生活保護法の本来の趣旨に添った運用を徹底する。申請権を確実に行使できるよう、実施機関の窓口に申請書一式を備え置くことを義務づける。また、申請等に関する苦情や相談、不服申し立て(審査請求)を受付け、調査権と行政への勧告権を持つ「第三者機関」を設置する。

 

 

C 生活保護制度を広く市民に知らせ、申請書やパンフレットを福祉事務所や行政の各相談窓口に設置するなど、誰もが利用しやすい制度にする。

 

 

D 資産を使い果たさなければ保護しないために自立をかえって困難にしているという観点から、最低生活費3ヶ月分程度までの現金・預貯金は認めるなど資産要件を緩和する。

 

 

E 雇用政策と社会保障との連携・拡充、第2セーフティネットの恒久化を含めた総合的な視点から日本の生活保障のあり方を見直す中で、生活“保護”の名称変更を含め生存権保障を実体化する方向で生活保護法の改正を検討する。

 

(5) ナショナルミニマムの確保と生活の底上げ

 

 

@ 地方分権改革の推進にあたっては、生存権や安全の確保、人としての尊厳に関わるサービスについては国が最低基準を設けることを前提とするとともに、当事者・社会的弱者の声が反映されるよう留意する。

 

 

A 最低賃金を大幅に引き上げ、生活できる賃金水準の確保をはかる。

 

 

B 公的機関が民間企業などへ委託・発注する全ての事業において、適正な労働条件とサービスの質を確保するため、低価格入札に拘束された発注、不当な人件費や人員の削減、不安定雇用、下請け業者へのしわ寄せを排除する公契約基本法や条例を制定する。

 

(6) 貧困ビジネスへの規制強化

 

 

@ 劣悪な居住環境や不要なサービスを強要し、高額な利用料を生活保護費からピンハネするなど様々な問題を引き起こしている「無料低額宿泊所」に対する規制を強化する。このため、第1種社会福祉事業の実体を有するにもかかわらず第2種社会福祉事業として無許可営業することを容認する厚生労働省社会・援護局長通知(平成15年)をただちに廃止し、最低基準を設け、取り締まり・罰則を強化する。

 

 

A 追い出し屋被害を根絶するため、継続審議になっている「追い出し屋規制法」を速やかに成立させる。また、滞納家賃のデータベース化に対しては、収入が不安定な人たちが賃貸住宅市場から排除されないよう歯止めをかける。

 

(7) 経済的理由で夢を断念させない 〜 教育・人材育成での機会均等

 

 

@ 司法修習生の給費制の存続
 昨年11月の裁判所法改正(貸与制導入の1年延期)の趣旨を踏まえ、「経済的理由から法曹になることを断念することがない」制度と財政支援の在り方についての検討を速やかに行い、期限である2011年10月31日までに所用の法改正を行う。法曹養成制度のあり方全般の見直しも絡めて検討する場合は、結論がでるまで現行の給費制を存続させることを前提とする。

 

 

A 奨学金制度の拡充
国・地方自治体は、義務教育終了後の学生に対する公的奨学金制度を充実する。 

 

 

 

a) 世帯収入や学業成績に関係なく、希望に応じて貸与する。

 

 

 

b) 貸与奨学金は全面的に無利子とする。

 

 

 

c) 水準を、一定程度の生活費まで保障できるように改善する。

 

 

 

d) 意欲・学力等の一定の基準を満たしながら、世帯収入が一定以下の学生に対する、無償給付型奨学金制度を創設する。

 

(8) 就労・自立支援における社会的事業者の活用と育成

 

 

 新しいセーフティネットとしての「求職者支援制度」や、既存の職業訓練制度、および生活保護受給者や就労困難な若者等に対する自立支援プログラムなど、全体の就労支援・自立支援政策の中で、「社会的事業者」「社会的企業」を積極的に活用することで、社会的事業の人材養成と地域における雇用創出、さらには新しい公共の推進を連動させる政策を推進する。
 特に、いわゆる「基金訓練」の運用において「社会的事業者コース」の基準が曖昧なまま、混乱を招き、求職者支援制度の設計から「社会的事業者コース」が消えようとしている現状を是正し、社会的事業者の考え方を確立し、セーフティネット強化を地域から支える社会的事業者の育成を政策・制度的に強化する。  

 

 

 

 

3.多重債務対策

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改正貸金業法の完全施行を踏まえ、次の課題について強化をはかる。

 

(1) 多重債務者対策本部が貸金業者による脱法行為を厳しく監視できるよう、都道府県・多重債務対策協議会における実態の検証・分析の強化と多重債務者対策本部との関係で有機的な連携をはかる。

 

(2) 内閣府府令に盛り込まれた、「激減緩和措置」における、「おまとめローン」の推奨策については、既往貸付の利息制限法引き直し計算を前提とする。

 

(3) 多重債務者対策本部が貸金業者による脱法行為を厳しく監視できるよう、都道府県・多重債務対策協議会における実態の検証・分析の強化と多重債務者対策本部との関係で有機的な連携をはかる。

 

(4) ヤミ金撲滅に向けて引き続き一層の強化をはかる。

 

 

 

 

4.消費者政策の充実強化

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(1) 悪質商法(3.4兆円の経済損失)の根絶で、良質な事業・雇用の創出へ〔総論〕

 

 

@ 消費者被害に伴う経済的損失額は3兆4千億円とも推計(平成20年版国民生活白書)されており、消費者のみならず善良な事業者や労働者を含めた国民全体の最小不幸社会を実現する観点から、悪質商法の根絶、消費者行政の充実に国と地方が協力し責任をもって取り組む。

 

 

A このため、国は消費者被害に伴う経済的損失額について毎年推計値を公表し、国および地方の消費者行政の強化・充実に向けた世論喚起をはかる。また、この経済的損失分(GDP0.7%)を良質な事業・雇用創出に振り替えることを「新成長戦略」の中に位置づける。

 

(2) 地方消費者行政の充実・強化
 消費者庁は、地方消費者行政支援策について、消費者委員会地方消費者行政専門調査会報告書を踏まえ、財政支援をはじめとする2012年度以降の国の支援措置を具体化する。支援措置の具体化を通じて、地方の消費者行政に携わる人材の支援・育成、消費者相談体制の強化、行政処分の執行体制の強化など、地方消費者行政の充実・強化をはかる。

 

(3) 集団的消費者被害救済制度の導入
 少額多数の消費者被害救済や事業者の不当利得の吐き出しを進めるために、集団的消費者被害救済制度に関する検討を進め、2012年度通常国会中に制度化を実現する。

 

(4) 消費者団体の公益的活動に対する支援
 消費者庁は、消費者団体訴訟制度を担う適格消費者団体や、消費者相談を行っている消費者団体への財政面・情報面の支援について、消費者団体支援策の検討と措置の具体化が消費者庁関連三法の附則・附帯決議に位置づけられていることを踏まえ、2011年度中にあり方をとりまとめ、2012年度から支援を行う。

 

(4) 国民生活センターの在り方の見直しについて
 国民生活センターの在り方の見直しについては、相談事業・商品テスト・地方相談員・職員向け研修・ADR(裁判外紛争解決手続)等その多様かつ専門的機能が保障されることが肝要であり、「消費者庁及び消費者委員会設置法附則3項」(※) にあるように、消費者庁・消費者委員会・国民生活センターの機能と組織をトータルで見直すことが必要。こうした検討は消費者庁と国民生活センターの間でのみ進めるのではなく、国会や消費者委員会等で幅広く検討を行う。

 

 

 

※ 「施行後3年以内に、(中略)消費者庁及び消費者委員会の所掌事務及び組織並びに独立行政法人国民生活センターの業務及び組織その他の消費者行政に係る体制の更なる整備を図る観点から検討を加え、必要な措置を講ずる」

 

 

 

 

5.2012年「国際協同組合年」に向けた協同組合の促進

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(1) 2012年「国際協同組合年」に際しての支援や国際会計基準への統一的対応など、協同組合に関わる事項の総合的な調整や連絡を担当する政府窓口を設置する。

 

(2) 2012年「国際協同組合年」に向けて、政府としての一元的な推進のための体制を整備し、協同組合をはじめとする組織で構成されている「2012年国際協同組合年全国実行委員会」と連携し、積極的な協同組合促進の取り組みを展開する。

 

(3) 税制や会計制度の適用において、協同組合の独自性や社会的役割を考慮する。

 

 

@ 協同組合の非営利の相互扶助組織としての社会的・公共的な役割と持続可能な経営基盤の確立の重要性に鑑み、協同組合税制を堅持する。

 

 

A 国際会計基準の適用において、協同組合組織の独自性を考慮する。

 

(4) 「協同労働の協同組合法」を速やかに制定する。また、社会的に排除された人々の就労を通じた社会参加や「地域雇用創造」を促進する担い手として、「協同労働の協同組合」や社会的企業の果たす役割を重視し、その育成・支援を充実させるとともに、コミュニティにおける就労と事業化を促進するための政策を推進する。

 

(5) 「新しい公共」を推進するにあたって、積極的に協同組合組織の果たす役割を評価し、政策的にも位置づける。また、行政と非営利・協同セクターとの関係を、単なるコスト削減や下請け型の業務委託ではなく、目的や基準を明確にした上での対等なパートナーシップに基づく関係へと再編成する。そのため、指定管理者制度等の公共サービスを支え充実させるための制度・政策を総合的に見直し、充実させる。

 

6.中小企業勤労者の福祉格差の是正

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(1) 中小企業勤労者の福祉格差の是正に向けて、国・自治体・事業主の役割・責務等の明確化、勤労者福祉に関する制度運用への労使の参画促進、ワーク・ライフ・バランスの推進等をはかる観点から、関係法制を整備する。

 

(2) 中小企業勤労者福祉サービスセンターの自立と再生に向けて、広域化を推進するとともに、勤労者の暮らしと福祉に関する総合福祉センターをも展望し、魅力あるサービス内容への抜本改革を進める。

 

 

@ 全ての会員がいつでもサービスを気軽に利用できる仕組みを確立する。

 

 

A 既存の企業内福利厚生と重複せずに、従業員ニーズに合わせてサービス・会費が選択できる複数会員制度の導入を進める。

 

 

B 地域の福祉団体やNPO等とのネットワークにより、個別企業では提供困難な子育て・介護支援、生活福祉相談、生涯生活設計支援、自己啓発、健康増進、生きがいづくりなど、ワーク・ライフ・バランスの支援や勤労者の多様なニーズに応えるサービスを提供する。

 

 

C 国庫補助廃止を機に、大企業や公務部門からの福利厚生事業の受託化を積極的に進め、非正規労働者や退職者も含め地域の全勤労者を対象とした事業展開をはかる。

 

(3) 中小企業勤労者福祉サービスセンターの再編(広域化と改革)を進めるにあたって、都道府県が積極的な役割を果たすよう、国の支援・指導を強化する。また、地域における勤労者のライフサポート事業の促進やサービスセンターの統合・事務の集中化を支援するための基金の造成など、2010年度末での国庫補助廃止に変わる新たなスキームでの国の支援策を早急に検討・実施する。

 

(4) 中小企業退職金共済制度(中退共)への加入促進をはかるとともに、以下の制度改善を行う。

 

 

@ 一般の中退共では、「掛金納付期間が1年未満は支給なし(2年未満は掛金納付額を下回る)」となっているが、企業の倒産・廃業の場合には掛金相当額が受給できるよう措置を講ずる。また、特定業種(建設業、清酒製造業、林業)退職金共済制度においては掛金納付期間が2年未満は支給されないことから、一般の中退共と同様に「1年未満」となるよう措置を講ずる。

 

 

A 中退共と税制適格年金を併用している企業における税制適格年金からの中退共への移行を可能とする。

 

 

 

7.勤労者の生活設計・保障への支援

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(1) 財形制度の改善

 

 

【普及促進に関する項目】

 

 

@ 財形貯蓄制度の導入促進と融資制度の利用促進を図るために、実効性のある周知広報活動および支援を行う。

 

 

【税制改正に関する項目】

 

 

@ 非正規雇用者に対して、一般財形、財形年金、財形住宅の制度が利用しやすいように対策を講ずる。

 

 

A 財形年金貯蓄及び財形住宅貯蓄の非課税限度額を1,000万円に引き上げる。

 

 

B 非課税限度額を超えた金額のみ課税となる積立を認める。

 

 

C 非課税財形(住宅・年金)契約時の年齢または期間制限(新規契約時・受取時)を撤廃する。

 

 

(年金・住宅共通)

 

 

・新規契約  55歳未満

 

(年金)

 

 

・積立終了後の最大据置期間 5年

 

 

・受取開始年齢  60歳以降

 

 

・受取期間  20年以内

 

 

D 育児および介護休業・休職期間は、積立中断期間には算入しない。

 

 

E 財形住宅貯蓄の増改築等における適格払出しの費用要件75万円超を30万円超にする。

 

 

F 勤務先の都合により離職した失業者に対して、非課税適用継続期間の延長と非課税財形の払出し・解約する際の適格払出しの要件を緩和する。

 

(2) 共済制度の改善

 

 

@ 火災共済の異常危険準備金の洗替保証率を現行の100分の40から100分の50に引き上げる。

 

 

A 自然災害共済における異常危険準備金の積立率を現行の15%から30%に、洗替保証限度率について、現行の75%を100%に拡充する。

 

 

B 生命共済の責任準備金については、生命保険会社と同様に過去に締結した共済契約に遡り、生命保険会社に適用されている標準責任準備金の額まで損金算入限度とする。

 

 

 

 

8.子育て支援、介護・福祉

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(1) 子育て支援

 

 

@ 仕事と育児の両立支援のため、夜間や病児・病後児等の緊急預かりのためのファミリーサポートセンター未設置市町村の解消を図り、積極的な対応の促進と拡充をはかる。

 

 

A 制度再編にあたっては十分な議論を保障し、既存制度を低下させないよう市町村の責務を明確にすると同時にそれに伴う財源を保障する。

 

(2) 介護・福祉

 

 

@ 訪問介護サービスの「生活援助」の報酬体系は「身体介護」と一本化する。利用者の状態の維持・改善に大きな効果がある生活援助は、介護現場においては身体介護と一体的に提供されており、報酬体系を一体化すべき。

 

 

A 要介護認定制度については継続を前提に、見直し検討を行う場を設置する。

 

 

B 一定の条件を満たした場合、区分支給基準限度額の上乗せをするなどの施策を実施する。ターミナル、認知症、独居等、一定の条件を満たした利用者が、主治医やケアマネジャーの意見書または介護認定審査会での決定等があれば、現状の区分支給基準限度額を超えたサービスが利用できるよう、運用の見直しを行う。

 

 

C 寒冷地における暖房用燃料の十分な供給量の確保と適正な価格を維持する。特に高齢者、生活困窮者、障がい者等の弱い立場の人々の生活に支障を来さないように経済的な措置を講ずる。

 

 

D 移動販売車、買い物バスの運行など、買い物弱者対策として行われる事業に対する支援施策を昨年度以上に拡充する。

 

 

 

 

9.くらしの安全・安心の確保

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(1) 食品の安全性確保

 

 

@ 食品安全基本法第21条第1項に規定する「基本的事項」が2004年(平成16年)閣議決定以降改訂されていないため、現状をふまえた改定を行い、それに基づいて必要な措置を行う。また、食品安全基本法の精神に基づき、リスクアナリシスの視点で、リスク評価機関とリスク管理機関の関係を再確認し、相互の連携を強化する。

 

 

A 消費者庁・農林水産省・厚生労働省・食品安全委員会は、関係機関と協力し、食品テロ等、従来の想定の枠を超えた食品に由来する健康被害に対して、食品防御の観点からの研究を進める。

 

 

B 政府は、食品の安全に関わる緊急事態への対応について、対処体制の整備や訓練の実施を行う。

 

 

C 政府は、一次産品を中心とした食品中の放射性物質の検査・モニタリング調査を迅速かつ効果的に実施し、暫定規制値を超える食品が引き続き市場に出回ることがないようにする。以上について消費者に分かりやすく継続的に情報提供する。

 

(2) フードバンク活動の促進

 

 

@ 食品廃棄・ロスを削減し食品として有効に活用する観点から、フードバンクを「新しい公共」の担い手として積極的に位置づけ、省庁横断的な施策を推進する。

 

 

A フードバンク活動を促進・普及するための支援策、補助事業を拡充するとともに、業務の継続性を担保する(マッチング・情報管理システムの構築や管理者の養成、評価システムの構築など)施策を講ずる。

 

 

B 国や自治体の備蓄米・食料等を活用してフードバンクへの食料安定供給をはかるとともに、基幹・地域物流網整備への支援を行う。

 

 

C 食品関連企業や物流企業のフードバンクへの支援を促進するためのインセンティブとして、CSR(企業の社会的責任)を評価する仕組みや助成・税制優遇を検討する。

 

 

D 災害時における食料支援システムとしてフードバンクを戦略的に位置づけ、平常時は福祉支援と災害訓練に、災害時はそのままフードバンクのインフラ(基幹物流、地域物流網)が活用できるようシステムの構築をはかる。

 

 

E 福祉事務所窓口での困窮者へのフードバンク食品の提供やパントリー施設の整備、食品ロスの削減を通じた環境負荷の低減など、福祉・環境政策とも連携した施策を推進する。

 

(3) 環境や防災に配慮した住宅整備の促進

 

 

@ 新築、増改築に際し、国の指定するCO2削減等、環境に配慮した建築資材(サッシ類等)を使用した場合の助成金制度をさらに充実するとともに、適用基準の緩和を行う。

 

 

A 集合団地の建て替えにあたっては、災害時の避難場所機能を附加する等、地域全体の社会資本整備を行うよう事業主体に自治体が指導し、そのための容積率の緩和、道路整備費補助等を行う。

 

 

 

 以上