中央労福協

 

 

中央労福協第61回定期総会を開催

2014~15年度の活動方針等を決定

協同事業の利用促進、共助拡大、生活・就労支援を重点

中央労福協は11月29日、東京・ホテルラングウッドにおいて第61回定期総会を開催し、2014~15年度の活動方針等を決定した。2009年に採択した労福協「2020年ビジョン」の折り返し点にあたり、①協同組合の社会的価値の向上と利用促進、②協同組合と労働組合の連携による共助拡大、③全国的な生活就労支援体制の構築などを重視しつつ、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」の具現化をはかることを全体で確認した。

総会には160名の代議員をはじめ、来賓や傍聴を含め214名が参加。田中副会長の開会の挨拶で始まり、議長団に大原始代議員(福岡県労福協)、小林裕子代議員(労協連)を選出した。

主催者を代表して挨拶した中央労福協の古賀会長は、「共助を最も必要としている人たちが、その仕組みの外にいる」現状について様々な場で課題提起してきたことに触れ、労働団体と事業団体の連携行動を通じて、協同事業の基盤強化に向けた利用促進、労働者福祉のウィングの拡大をめざす共助拡大運動に取り組むことの重要性を改めて強調。また、生活困窮者自立支援法の成立に伴い、貧困や社会的孤立から脱却できる総合的な支援体系の整備に向けて労福協が積極的に参画していくことの重要性も指摘した。その上で、「新しいステージを私たち自らの意志と知恵と行動で創造し、具体的な形にしていくことを全体で確認し合う総会にしよう」と訴えた(挨拶詳細はこちら)。

続いて来賓として、連合の神津里季生事務局長、民主党の髙木義明代表代行、公明党の桝屋敬悟政務調査会長代理、社会民主党の吉田忠智党首、厚生労働省の中野雅之労働基準局長、日本弁護士連合会の山岸良太副会長より挨拶をいただいた。

議案審議では、福島県労福協の林代議員より復興支援への謝意と現状報告があり、「震災や原発事故を風化させないよう取り組んでほしい」との要望が出された。また、全労金の石田代議員からは、活動方針案を支持し積極的に活動していく立場から、全労金と労済労連による労働者自主福祉運動シンポジウムの取り組みの紹介と協力要請の発言があった。こうした要望等も含め、2012~13年度活動報告、2013年度決算、2014~15年度活動方針案、2014年度予算案など全ての議案が承認された。

2012~13年度役員名簿

会  長

古賀 伸明

連合 会長

 

副 会 長

山本 幸司

連合参与、(公社)日本労働文化財団専務理事

 

 

渡邉 和夫

フード連合 顧問

 

 

半沢 美幸

電機連合 中央執行委員

 

 

勝野 圭司

全建総連 書記長

 

 

田中 秀和

労金協会 副理事長

 

 

原 日出夫

全労済 専務理事

 

 

和田 寿昭

日本生協連 専務理事

新任

 

遠藤 幸男

東部労福協 会長

 

事務局長

大塚 敏夫

連合参与、自治労特別中央執行委員

 

会計監査

工藤 智司

基幹労連 事務局長

 

 

神田 幸弘

紙パ連合 中央書記長

 

 

羽田 秀司

全労済 常務理事

 

役員改選では、古賀会長、大塚事務局長らを再選。退任した芳賀副会長の後任には、和田寿昭・日本生協連専務理事を選出した。(新役員体制は別掲の通り)。新役員を代表して古賀会長は、「競争とか効率、経済性をすべて否定するものではないが、そこだけに重きをおいた政策は徹底して矯正しなければならない。協同、共生、社会性といった政策がバランス良く配置された社会をめざしていきたい」との決意を述べ、それぞれの立場からの労福協運動への参画を呼びかけた。
 最後に勝野副会長が「地域の絆をさらに深めていく自主的な福祉運動を進めていこう」と締めくくり、総会は成功裏に終了した。

総会にご出席いただき、またメッセージをお寄せいただき、誠にありがとうございました。
謹んで、御礼申し上げます。

ご挨拶を頂いた来賓の皆様(敬称略)

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神津里季生
連合事務局長

 髙木義明
民主党代表代行

 桝屋敬悟
公明党政調会長代理

 吉田忠智
 社会民主党党首

 中野雅之
 厚労省労働基準局長

 山岸良太
日弁連副会長

ご出席頂いた来賓の皆様(敬称略)

 菅家功
(公財)連合総研
専務理事

團野久茂
(公財)国際労働財団
専務理事

 南雲弘行
(公社)教育文化協会
理事長

根本良作
(公財)連合財団
常務理事

秋山淳
全国クレジット・サラ金被害者
連絡協議会
事務局長 

メッセージを頂いた皆様(敬称略)

自由民主党幹事長 石破 茂

日本維新の会
国会議員団幹事長 松野 頼久

みんなの党

日本共産党中央委員会幹部会
委員長 志位 和夫

生活の党
衆議院議員 小沢 一郎

日本司法書士会連合会
会長 齋木賢二

全国青年司法書士協議会
会長 谷嘉浩

(一社)全国消費者団体連絡会
代表理事
  河野康子 丸山善弘 山根香織

(公財) さわやか福祉財団
理事長 堀田力

特定非営利活動法人
市民福祉団体全国協議会
専務理事 田中 尚輝

(公財)日中技能者交流センター
理事長 人見一夫

(一社)ユニバーサル
志縁社会創造センター
代表理事 池田徹

セカンドハーベスト・ジャパン
理事長チャールズ・マクジルトン

NPO法人ナルク 会長 高畑敬一

(公財)公益法人協会
理事長 太田達男

(一社)生活経済政策研究所
会長 加藤良輔

労働調査協議会

 

古賀会長挨拶

2-koga.jpg中央労福協・第61回定期総会に、全国各地よりお集まりの皆さん、大変ご苦労さまでございます。

皆様方の様々な課題解決に向けた日ごろの取り組みに、心から感謝と敬意を表します。

また、ご覧のように、本日は大変ご多用の中、私どもの総会に、多くのご来賓の皆様方にご臨席いただいております。お忙しい中、駆けつけていただきましたことに、労福協加盟団体の皆様とともに、全員の拍手で感謝の気持ちをあらわしたいと思います。本当にありがとうございます。
 

ご案内のように労福協の総会は2年に一度でございます。本総会は、2年サイクルの運動の節目の年に当たり、2年間の活動を振り返り、そして向こう2年間の活動方針を議論いただくことを目的にしております。中央労福協は、4年前の2009年、結成60周年を契機に、新しいビジョンとして向こう10年先を展望した「労福協の理念と2020年ビジョン」を提起し、労福協が進む方向を皆さん方と共有化しました。そして、「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」をめざして、連帯経済の領域拡大、貧困や社会的排除を許さず参加が保障される社会づくりへ向けて、全国の仲間とともに取り組みを進めてきたところです。

明年2014年は中央労福協の結成65周年であり、労福協の「2020年ビジョン」の具現化の取り組みのちょうど折り返し点でもあります。ビジョンの実現に向けて、いよいよ私たちの運動の力量が問われていると言って過言ではありません。労働者福祉の課題は山積していますが、これまでの歴史・理念、役割を再確認しつつ、これからの2年間を「連帯・協同でつくる安心・共生の福祉社会」への基盤、システムづくりに重点を置いて、取り組みを進めなければならないと思っています。
 

具体的には後ほどの提案や報告に委ねることとし、私からは、幾つかの課題について、若干の所見を申し述べたいと思います。
 

まず第1に、昨年2012年の国際協同組合年・IYCとポストIYCの取り組みについてです。

私たち中央労福協は、国際協同組合年の取り組みを2020年ビジョンの具体化の一環と位置づけ、昨年1年間を通じて、さまざまな場で協同組合の社会的価値や協同組合と労働組合との連携強化を訴えてまいりました。各職場、地域での周知、報告、あるいは広報、そして啓発活動などに取り組んでこられました皆さま方に、あらためて感謝を申し上げます。

国際協同組合同盟・ICAは、国際協同組合年の取り組みを踏まえて、さらに2020年までの協同組合発展のための指針である「協同組合の10年に向けた計画(ブループリント)」を作成しました。この指針は、「協同組合は経済、社会、環境面でより高い持続可能性をもたらし、他の事業モデルよりも優れている」ことを主張し、実践していくものです。

わが国でも、今年に入り、国際協同組合年を単年度の取り組みに終わらせることなく、ポストIYCの運動を継続すべく、IYC記念全国協議会が発足し、中央労福協も協同組合セクターの一員として幹事団体に参画をしています。引き続いての皆さまのご支援とご協力をお願いいたします。

さて、この間、数々の場で、共助を必要とする人たちが共助の仕組みに参加できるように3-koga.jpgしていくことを課題提起してきました。最も共助を必要としている人たちにどのような参加手段がとれるのか。例えば低賃金の非正規労働者、リストラや企業倒産のため職を失った人たち、無年金・低年金で生活保護に頼らざるを得ない高齢者の方など、共助を最も必要としている人たちが、その仕組みの外にいるのが実態です。そうした人々へ、どのようにして共助の輪を拡大していくのか、私たちは真剣に考え、具体化していく時期に来ていると思います。

もちろん、公助がその人たちのカバーをしていく、その役割を果たすということが理想ですけれども、連帯や共助というものが普遍的な価値であるならば、対象がそうした人々に及ばないことは、共助の社会的意義が問われていることになるのではないかと考えます。さらに一歩踏み出し、具体的な形にして、労働組合と協同組合が連携をし、できるところから行動に移していかなければなりません。

こうした問題意識のもとで、中央労福協は「労働団体・事業団体連携行動委員会」を設置し、それぞれの団体の取り組み、課題、今後の具体的連携のあり方について議論を進め、先般、2つの課題について「まとめ」の成案を得たところです。その1つ目は、協同事業の基盤強化に向けた利用促進、そして2つ目は労働者福祉のウィングの拡大をめざす共助拡大運動です。中央労福協は「2020年ビジョン」の取り組みの折り返し地点に立って、この2つの「まとめ」を重視し、労働団体と事業団体の連携行動を通じて取り組んでいかなければならないと考えます。

「協同事業の利用促進」については、労働組合の協同事業に対する理解をさらに深める取り組みを進め、労働組合と労働者自主福祉事業団体との具体的連携に向けた協議を続けます。また、地域段階でも、利用促進に向けた協議の場を設定したいと思います。

「共助拡大運動」については、各労福協のライフサポート事業の強化を通じて、地域での「拠り所づくり」のモデル地域の設定に着手をいたします。そのための条件整備、選定に向けた関係事業団体、地方労福協との協議を進めていきたいと考えます。

皆さまのぜひ格段のご支援とご協力をお願い申し上げます。
 

第2に、当面の課題としての、生活困窮者自立支援の取り組みと生活保護制度のあり方についてです。

今、社会の持続可能性そのものが問われる中で、貧困・格差社会の是正はきわめて大きな課題となっています。とりわけ、フルタイムで働いても食べていけない、働きたくても働けない、この社会の構造こそが大きな課題であり、生活困窮者への初期段階からの包括的・伴走型の生活就労支援体系を全国的に整備していくことが強く求められています。

これまで、政府のパーソナル・サポートモデル事業には、5つの地方労福協が実施主体としてかかわってきました。こうした寄り添い型の生活就労支援がより発展した形で全国展開され、生活に困窮する人が貧困や社会的孤立から脱却できる総合的な支援体系の整備につなげることが求められています。本年度より、生活困窮者自立支援法による制度の恒久化に先立つものとして、モデル事業が開始されました。地方労福協や協同組合のこれまでの経験を活かし、この動きに積極的に参画していくことが重要です。

一方で、生活保護世帯・生活保護受給者の増大が問題視されています。しかし、問われるべきは、働いても生活できない、働きたくても働けないという今の社会の姿です。貧困を生み出す原因をなくしていくためには、雇用の立て直し、社会保障の充実、生活保護に至る手前でのセーフティネットの構築、そして所得の再配分機能の強化こそが必要です。

中央労福協としても、労働運動、労働者自主福祉運動の原点に立ち返り、貧困と格差の無い社会へ向けて、主体的に役割を発揮していきたいと考えます。
 

最後に、現在の政治状況と運動の基本的な考え方について触れておきたいと思います。

当然のことながら、この中央労福協は、政治的立場を超えて運動をする団体です。しかし、私たちの政策実現の取り組みに大きくかかわってくることから、この間の厳しい政治情勢とそれに対峙するための運動の基本的考え方について若干申し上げておきます。

今、時代は大きく動いています。経済のグローバル化の進展、そして超少子高齢・人口減少社会を迎え、これまでの経験則や価値観の延長線上では対応できない課題や状況がたくさん私たちの目の前を覆ってきています。市場経済だけでは解決できない諸課題を克服していくために、私たち労働運動、労働者福祉運動、協同組合運動に求められている役割と責任はますます大きくなっていると思います。

現在、いわゆるアベノミクスのためか、社会を覆う期待や気分はなんとなく右肩上がりになっているように見えます。しかし、それはあくまで期待や気分であり、日本全体を見れば、地方をはじめ実態は非常に厳しく、何と言っても私たち働く者、生活者にとっても家計が圧迫されているのが現実です。そして、そうした中で、政府与党は、成長戦略の名のもとに、雇用労働法制の規制緩和に向けて、大きく舵を切ろうとしています。今、重要なことは雇用や将来不安をいかに解消するかということです。そして、そんな今だからこそ、社会の共感を得る、世論を喚起する運動を起こしていかなければなりません。労福協には、さまざまな歴史を持つ組織が結集をしています。その中で、お互いの違いを際立たせるのではなく、互いに共通項を見出し、そこに運動を集中していくことが極めて重要だと思います。

どうか皆さん、新しいステージを私たちみずからの意志と知恵と行動で創造をしていく、そして議論して決定したことを具体的な形にしていくことを全体で確認し合う定期総会になりますことを心よりお願いを申し上げ、冒頭のご挨拶にかえさせていただきます。よろしくお願いいたします。ご清聴ありがとうございました。