60回を数えます中央労福協の総会の議論、大変ご苦労さまでした。
皆さん方に承認いただきました中央労福協会長に就任いたします連合会長の古賀です。
皆様方には、大変難しい時代の様々な課題解決に向けた日ごろの取り組み、そして運動、活動に心から敬意を表したいと思います。
明治の後半から昭和の初期を生きた詩人・宮沢賢治は、このような言葉を残しています。「世界じゅうの人たちが幸せにならなければ個人の幸せはない」。1944年フィラデルフィアで開催されたILOのフィラデルフィア宣言、「一部の貧困は全体の繁栄にとって危険である」。まさに相通ずるものがあります。
11月初旬、G20がフランス・カンヌで開催されました。G20と並行して労働組合の代表者が集まり、G20の首脳宣言に何を盛り込ませるかを討議していました。議長国であるフランスのサルコジ大統領を初め、十数カ国の首脳と意見交換をし、ILOのソマビア事務局長、OECDの事務総長、IMFの専務理事等々とも意見交換をきました。
ことし初めて労働組合の会合の場に国連の潘基文事務総長が参加され、「経済の発展が本当に人の幸せにつながっているのか。経済の発展が雇用につながっているのか。世界が今そういう状況の中で、皆さん方労働組合の役員こそ頑張ってもらわなければならない。私も国連という立場で頑張るけれども、皆さん方がまさに働く者、そしてそれぞれの国民を代表する、そんな働く者の代表として頑張ってほしい」とおっしゃいました。冒頭の宮沢賢治の言葉から始まり、すべて通じ合うものがそれぞれあると思います。
今、私たちは、好むと好まざるとにかかわらず、大きな変革期を生きています。恐らくさまざまな課題は、これまで数十年来にわたってつくられたシステムや仕組みが現状とは合わない、そんな状況が続いているのではないかと思います。しかし、新しい仕組みやシステムをつくるというのは、一面どこかに痛みを伴うものです。しかし、そのことを恐れていては、新しいステージに私たちは上っていけないのではないかと思うこと、最近しきりです。
すなわち、例えばグローバルかつローカルとか、あるいは巨大組織かつ機動性のある小さな組織とか、また、中央集権あるいは分権とか、こういう相矛盾するような事柄を、私たちは従来の延長線上ではなくて、新しい次元の思考で統合しながら、私たち自身が新しいコンセプトをつくっていく。そんな時代を迎えているし、そのことをするのが私たちの今、役割と責任ではないかと思っているところです。
中央労福協も60回を数える非常に歴史と伝統のある組織で、連合も二十数年の年月を数えました。これからの労働運動、あるいはこれからの社会運動をどう描くべきかということを、ぜひ皆さん方と考えていきたいと私は思っております。
私は連合会長とこの中央労福協の会長兼務となります。連合の役割、中央労福協の役割、もう一度皆さんと一緒に考えていきたい。どうか皆さん方のご支援、ご指導を心からお願い申し上げる次第です。
最後になりましたけれども、高橋事務局長を初め数名の方が退任されます。今日までの労福協に対する、労働運動に対するさまざまなご尽力に対し心から御礼を申し上げ、これからも折に触れ我々後進にご指導いただければありがたいと思います。
どうか皆さん、新しいステージを私たちみずからの手で創造していく、そんな決意を込め、60回の定期総会での新任のあいさつとします。
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