「派遣切り」や「雇い止め」の動きが広がる中、職と住まいを失った非正規労働者が厳しい年末年始を迎えている。こうした人たちを一人でも多く支援しようと、労金が低利融資の取り扱いを開始し、中央労福協も法律家団体等との共催で12月24日に「年越し電話相談会」を実施した。連日マスコミ報道された「年越し派遣村」のように、労働組合や市民団体の支援活動の輪も広がり出した。
 3月までに仕事を失う派遣労働者などが85,000人を超える(厚労省調査)という厳しさの中で、政府の対応が求められるとともに、私たちの活動も真価が問われている。

「就職安定資金融資」を労金が開始

 全国の労金は、解雇や雇い止めにより社宅や寮などの住居を失った離職者の住居確保や就職活動を支援する「就職安定資金融資」の取り扱いを12月22日から開始した。政府の緊急雇用対策の一環で、12月4日に連合の高木会長が麻生総理へ要請した際、年内実施を強く求めたことから実現した。
 ハローワークへの相談を経由して、労金が低利融資(金利1%+保証料0.5%)を行うという制度で、一般の融資とは全く異なる観点から1〜2日で迅速に対応することになっている。住宅入居初期費用や家賃補助費、生活・就職活動費など最高176万円が借りられる。当初の6ヶ月は利息だけ返済すればよく、半年以内に常用就職できた場合は一部返済免除になるのも魅力だ。
 本制度は12月16日に開催された連合の緊急雇用対策会議(構成組織、地方連合会が参加)でも紹介され、労金協会の鈴木副理事長が「万全の体制で、労金の社会的役割・使命を果たすべく、全金庫・全職員をあげて取り組む。年を越せない人のために、少しでもお役にたちたい」とアピールした。連合の木村総合企画局長も「連合の政策要求が反映した制度であり、活用・周知してほしい」と訴えた。
 労金は、27日(土)、28日(日)もそれぞれ168か所、153か所の営業店等を開き、12月30日まで対応し、年末までに111件、8,190万円の融資を行い、年越し支援活動の一端を担った。(1月14日現在の融資実績は586件、3億3,700万円)

代表者会議

▲記者会見する鈴木副理事長(左)と連合・高木会長(右)、連合・古賀事務局長(中)。(12月16日、連合本部)

悲鳴2万件、年越し電話相談に殺到

仕事や住まいを失った人に「明るいクリスマスと正月を!」と、中央労福協や法律家団体など16団体が12月24日に全国20カ所で実施した電話相談には約1,700件もの相談が寄せられた。対応できなかった電話も含めるとかかってきた電話は約2万件に達し、全国各地で「年を越せない」という悲鳴が上がっている現状が浮き彫りになった。

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仕事が減少する、役所が閉まる年末年始は、生活の厳しさがもっとも極端な形で現れる時期である。加えて、今年は派遣切りの横行などで、生活が立ちゆかず住まいもなく年が越せない人たちが例年になく増えている。こうした人たちを対象に、生活保護・多重債務・労働問題・住まいなど多分野の専門家が協力して年越し電話相談会を実施した。中央労福協も共催団体に加わり、徳島で労福協が中心となって相談会を開催した他、埼玉、京都、愛媛、高知で労福協や連合が労働相談を受けるなどの形で協力を行った。

全国各地で電話が鳴りやまず、「行き場がなく途方に暮れている」「今日寝る場所がない」「所持金が数十円しかない」など切実な相談が相次いだ。緊急を要するもの103件については26〜27日に生活保護申請のサポートを行った。

26日には共催団体連名で、麻生総理宛に、@こうした実情を重く受け止め、年越し支援の陣頭に立ち、生活保護の活用を呼びかける、A派遣切りを続ける企業には「切るな!」との明確な意志表示をし、政治献金の受け取りを拒否する、B定額給付金をやめ生活再建に資する活用法を再検討する、C以上を実行する気がないのであれば即刻辞任すべきである―などの申し入れ書を提出した。

上の写真は徳島県労福協で電話相談する司法書士(12月24日)

日比谷公園で「年越し派遣村」が開村

 12月31日から1月5日までの6日間、東京・日比谷公園で「年越し派遣村」が開村され、連日マスコミで大きく報道された。「派遣切り」による解雇が集中する年末年始は、相談窓口となるハローワークが開いていないところから、連合加盟の全国ユニオンなどが中心となった「派遣村」実行委員会が、労働相談、住居や生活相談の窓口を開設し、あわせて住まいをなくした労働者のための炊き出しや・緊急住居対策を行った。弁護士や司法書士グループに連合も加わり労働相談・生活相談を行い、予想を大幅に上回る353件の相談があり、また宿泊者は予想を大幅に上回る489人に上った。また、この活動を支えたボランティアはのべ1,700人を数えた。

「派遣村」名誉村長と村長に宇都宮健児弁護士(「生活底上げ会議」共同代表)と湯浅誠・反貧困ネット事務局長が就任した12月31日の開村集会を訪れた中央労福協の笹森会長が飛び入りで、「今回の年越し派遣村には多くのボランティアの皆さんが参加しており、支援物資やカンパも類例をみない勢いで集まっている。日本の人々も捨てたものではない。しかも、この場には市民運動のひとたちとともに、労働団体が揃い踏みしている。これは大変なことなのです。貧困社会を本気で変えるための運動を、本日、日比谷からスタートさせよう」と挨拶した。

写真は上から(入村手続きする皆さん・12月31日)、(生活・就職相談に来た入村者)、(村民集会で挨拶する各政党の議員・1月4日)

 

 

 

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