第40次労働者福祉欧州視察団 視察報告の概要 |
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労働組合が政府に代わって失業手当や年金を受給者に支給する。暮らしに関係する社会保障を政府任せにせず、労働者が負担した掛け金分は労働組合が責任をもって取り扱い、組織・未組織を問わず全ての労働者へのライフサポートとしてしっかりやっている。 |
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ヨーロッパにおける各国ナショナルセンター(労働組合)が中心となって取り組むライフサポ−ト活動と課題(例えば事業の内容、運営にあたってのヒト・モノ・カネの手当をどうしているか、さらにはEUや政府、自治体からの補助金とその活用実態など)について事前に行ったアンケート調査結果に基づき、フランス、ベルギー、イタリアにおける取り組みや考え方、具体的事例(現場)などについて視察し、日本におけるワンストップサービスを中心とする労働者自主福祉運動の実践とこれからの展望に活かす。 |
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<失業保険制度> |
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@経営者を社会的パートナーと位置づけ、制度の規則を労使協定で決める。考え方「市場経済は良い失業保険制度があってこそ機能していく」。また失業制度は、企業の人事管理サポートとしての役割も持っている。 |
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AASSEDIC(ライフサポートセンタ-。労使同数で運営)は、労使からの保険料の徴収と給付金の支払い、失業者の登録、求職者フォローアップを行う。フランス全土に700カ所。ASSEDICの統括組織はUNEDIC。職員総数15,000人。 |
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B保険料 6.4%(使用者側負担 4.0%、労働者側負担 2.4%)。 |
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CASSEDICは、ANPE(公的就職支援機関)と連携して「個別求職計画」の実施や職業紹介など、求職者のサポートを行う。ANPEは全土に800カ所。ASSEDICとANPEは09年1月に統合し、ワンストップとなる。 |
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D連帯制度・・・・低所得で支給期限が切れた人を対象に連帯手当を支給。70〜80万人が給付を受けている。高齢者が多い。 |
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<社会保障制度> |
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@FGTBの組織率は70%。これを背景に労働組合が社会保障制度推進の強力な牽引力となっている。 |
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A社会保険料は、法律によって支払の義務が定められている。負担は「労・使」「使用者側のみ」「政府の支出(補助金)」の3つのケースがある。徴収は、社会保険庁が3カ月ごとに行う。 |
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B制度が対象とするもの・・・・・・年金、医療、疾病・障害、保証給与、児童手当、失業手当、年休、賃金レベルの支払、職業病など。 |
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C負担率・・・・使用者側は38.36%、労働者側・・・13.07%。社会保険制度の総コストは約900億ユーロ。 |
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<失業保険関係> |
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@失業手当は、社会保険庁が失業者に直接支払うのではなく、委託(支払機関)を受けたところが行う。支払機関は4つ。その内3つは労働組合(FGTB、CSC、ACV)で残りは国の機関。委託の条件は組合員が5万人以上であること。労働大臣が認可する。 |
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AFGTBは組合員を対象に失業者の登録やアドバイス、失業手当の手続きやサポート、関係する事務処理などのサービスを行う。 |
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BFGTBの地域組織は全国に16カ所あり、その下に支払事務所(県レベル)が多数ある。職員は800人。失業手当の支払いは銀行口座振込。 |
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C失業手当の申請1名につき、事務手数料が社会保険庁からFGTBに支払われる。この費用を運営コスト(人件費・事務所費)に充てている。ただし、この費用は他の分野に使用できない。取り扱い件数は年間755,000件(全体の約40%)、手数料は約30億ユーロ。 |
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D業務には専門性が必要なため、FGTBは職員の教育・訓練、再教育を毎月実施している。 |
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<パトロナート> |
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イタリア独特のライフサポート制度。国が法的に認知している。イタリアでは各種社会保障や税金などの申請手続きが法的・事務的な面で大変に煩雑なため、主に3つの労働組合(CGIL、CISL、UIL)とキリスト教団体(ACRI)の計4つが国の委託を受けてこの申請手続きのサポート事業(無料サービス)を行っている。ただし労働組合は運営に直接参加できないため個別に支援機構(労福協のような組織)をつくり、活動している。この機構は事実上、各労働組合の福祉部門の役割を担っている。国の認定には@全ての人を対象とするA民主的組織運営B労働省への登録が必要となる。この機構の役割を一言で言えば、「公的機関と労働者(国民)の間の鎹(かすがい)」といえる。 |
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●INAS(全国社会的支援組織) |
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@年金、失業手当、保険・共済の申請手続きのサービス提供。職員1200人。医師350人。全国800支部・海外に90出張所(職員150人)。 |
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A資金は、年金基金から支払われる。INASは年間450万件を取り扱い、年金基金から約1億ドルが提供されている。 |
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B対象・・・・50%が組合員。55%が非組合員(このうちサービスを受けた14万人が組合員になった)。 |
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C失業対策で就職斡旋は国の仕事であり、行っていない。 |
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●CAAF(税金申請サポート組織) |
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@イタリアでは1年に1度税金の確定申告をしなければならないが、手続きが煩雑(間違えると罰金)なためそのサポートを行う。 |
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A昨年200万件の申請手続きをサポート。1件につき20ユーロが国から支払われる。 |
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●ITAL(年金・医療福祉サービス組織) |
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@国内に700支部。海外にも出張所がある。 |
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●CAF(税金申請サポート組織) |
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●UNIT(住宅生協) |
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@住宅価格の適正化、賃貸住宅への支援など |
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●ADOC(全国消費者連合) |
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@会員は73,000人。入会金1人5ユーロ。全国209支部。職員1,500人(ボランティア)。 |
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A管轄は経済発展省。認可の条件は、会員3万人以上または20州のうち5州以上または100県のうち20県以上で組織されていること。 |
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B主な活動 ○消費者サポート(窓口サービス)○係争支援○政策キャンペーン ○国民運動(パスタストライキなど) |
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●ANCS(全国社会組合連合) |
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@労協事業。ワーカーズコーポ。組織条件9名以上。 |
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A共済・互助。失業対策。 |
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B(活動A)老人・子ども・障害者支援 |
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●INCA(労働者福祉組織) |
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@取り扱い件数 120万件。 |
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A主な活動。年金、労災、職業病、産休、障害者支援、困難企業支援、海外労働者支援など。 |
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●CAAF(税金サポート組織) |
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●労働相談(CGILの独自組織) |
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イタリアの3つのNC(CISL、UIL、SGIL)では積極的に退職者・年金受給者の組織化を行っている。以下はそのデータ |
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A組合費 年金からの天引き。受給額の0.4%〜1%、ただしCGILは0.5%。 |
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B徴収方法 年金公社によるチェックオフ。 |
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CA形態 横断的組織。組合員は各NCに直加盟。 |
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D連携 3つのNCの退職者組合は共に連携している。 |
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CGILでは、失業者の組織化を行っている。 |
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@組合費 本人の希望額(概ね1人1ユーロ) |
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A加盟形態 直加盟 |
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B組合員数 17,720名 |
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Cメリット 失業手当、各種社会保険などのサービス、争議支援など |
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DD組合員への就職あっせんはしない。国の仕事。 |
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(1)受け入れ及びご協力いただいた組織 |
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○国際労働組合総連合(ITUC) |
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(2)視察先・日 |
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○視察期間 2008年9月1日(月)〜11日(木) |
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9月3日(水)フランス(パリ)
CDT-FO、ASSEDIC(パリ市「バーシィ地区」)、UNEDIC |
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(3)参加者 22名 (女性5名) |
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○団長・柴田和男 岐阜労福協会長(連合岐阜会長) |
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以上 |