2008年6月11日

割賦販売法改正法案の成立にあたって(声明)

 

労働者福祉中央協議会
会 長  笹 森 清

.本日、参議院本会議において、特定商取引法及び割賦販売法改正法案が全会一致で可決・成立した。過失を要件としない既払金返還責任ルールや過量販売解除権の創設をはじめ、過剰与信防止義務や適正与信義務が定められるなど、画期的な法改正が実現した。中央労福協も含め労働界・消費者団体・法曹界が結束して取り組んだ265万人の署名、全47都道府県議会、856市町村議会での意見書採択、街頭宣伝行動などによる国民運動の成果として高く評価する。ご協力いただいた労働組合・事業団体をはじめ多くの勤労国民、法改正にご尽力いただいた政党、議員の方々に敬意を表し、心から感謝申し上げる。

 

.今回の法改正により、訪問販売に対しては、不当な勧誘行為や次々販売などによる被害の救済システムが整備されるとともに、クレジット業者が販売業者の勧誘行為や購入者の支払能力をチェックすることにより被害を未然に防止する効果も期待できる。店舗取引については、既払金返還の対象から除外されるなどの課題は残したが、クレジット業者の業務適正化義務としてクレーム処理が含められたことや、過剰与信の調査義務等を活用して杜撰なクレジット業者に対しては賠償責任を問える可能性が高まったことは前進である。

 

.過剰与信の調査事項や支払可能見込額など、省令やガイドラインに委ねられている部分も多い。法律が活きるかどうかは、その内容に大きく左右される。立法趣旨に基づいて被害救済・防止の実効性を確保できるよう、省令等の仕上げの段階までしっかりと監視していく。

 

.クレジット業界には厳しすぎる規制との見方もあるが、悪質商法の温床とならず、消費者が安心して利用できるクレジット制度にすることで、クレジット取引の健全な発展にもつながる。イギリスのように、国民に「クレジットを利用した方が安心」との信頼感を高め、消費者と事業者がWin−Winの関係でクレジットシステムを発展させていくことが必要である。今回の法改正で、その一歩を踏み出すことを期待したい。

 

.既払金返還ルールの創設により、消費生活センターで悪質商法被害を解決できるケースが格段に増えることになる。しかしながら、多重債務も含め相談が激増しているにも拘わらず、最前線の相談現場は相次ぐ予算・人員の削減で疲弊し、消費者行政の土台が揺らいでいる。消費生活相談員は不安定雇用で低所得な状態におかれ、権限も位置づけられていない。せっかく創った被害者救済の仕組みを機能させるためには、消費者相談センターの充実と、第一線で奮闘する相談員の処遇や身分の改善、権限の強化が不可欠である。

 中央労福協は、今回の運動のネットワークの諸団体とも連携して、地域・現場の消費者相談機能を強化する取り組みを展開していく。

 

 

以上

 

 

 

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